もう冬のヒヤリを我慢しない! 「ヒートショック対策」5つのステップ
「冬の浴室で命を落とす高齢者が年間16,050人」
交通事故の4倍
※令和5年 厚生労働省統計「家庭内事故死亡数」より
冬のある夜、和歌山市に暮らす70代のご夫婦が、夕食後に入浴の支度を始めたときのことです。
暖かいリビングから寒い脱衣所へ入った奥様は、あまりの冷気に一瞬立ち止まりました。
スリッパを履いていた足の裏からじわっと冷たさが伝わり、思わず身震い。
ちょうど手に持っていた着替えが床に落ち、その拍子に軽くよろけてしまいました。
「大丈夫?」と駆けつけたご主人も、足元のタイルが滑りやすくなっていることに気づき
「この家、ちょっと危ないかもな」と口にされました。
幸い、けがはありませんでしたが、翌朝にこんな会話が交わされたそうです。
「この家で、あと何年、安心して暮らせるのかしら」
「昔はこんな寒さ、平気やったけどな…」
ヒートショックの危険性
冬場になると、暖房の効いた部屋から寒い廊下、脱衣所やトイレに移動したときに
「ヒヤッ」と感じることはありませんか?
この“ヒヤリ”が、実は命に関わるリスクと隣り合わせであることをご存じでしょうか。
ヒートショックとは?
ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく上下し、
心臓や脳に負担がかかることで起こる現象です。
暖かい部屋から寒い場所へ移動すると、身体は血管を収縮させて熱を逃がさないようにします。
すると血圧が急上昇。その後、熱い湯船に浸かると血管が一気に拡張して、今度は血圧が急低下します。
この急激な変化が、脳卒中や心筋梗塞などの重大疾患を引き起こし、
最悪の場合、命を落とすことさえあるのです。
実は“住宅の寒さ”が、健康リスクを高めている
寒い家に住んでいる人は、そうでない人に比べて、健康状態が悪化する傾向にあるという研究データが数多く存在します。
室温と血圧の関係
国土交通省の調査では、冬の朝、室温が10度下がると血圧が平均10mmHg上昇するという結果が出ています。
特に高齢者は血管が硬く、温度変化に対する耐性が低いため、影響を受けやすいのです。
脳年齢との関係
同じく国交省のデータでは、リビングの室温が5度高いだけで、
寒い家に住む高齢者よりも脳年齢が10歳も若いという報告も。
つまり、「あたたかい家に住む」ということは、健康寿命を延ばす非常に重要なカギなのです。
今すぐできる!「温度バリアフリー」5つのステップ
ヒートショックのリスクは、正しい知識と少しの工夫で減らすことができます。
ここでは、今日からできる“温度バリアフリー”の実践術を5つ紹介します。
ステップ① 脱衣所を入浴前に暖めておく
冬の脱衣所は、特に危険な「温度差スポット」。
入浴前に10分ほど暖房器具を使用して室温を上げておきましょう。
おすすめは、設置型の脱衣所用セラミックヒーターや遠赤外線パネルヒーター。
ステップ② 浴室の事前予熱でヒヤリ対策
湯を張る前にシャワーで浴室全体を温めておくと、
床・壁・空気の冷えを抑えられます。
浴室乾燥機がある場合は「暖房モード」を活用するとさらに効果的です。
ステップ③ 食後すぐや飲酒後の入浴を避ける
消化やアルコールの影響で血圧が変動しやすくなります。
脱水症状を防ぐため、入浴前にコップ1杯の水を飲みましょう。
ステップ④ 湯温は41度以下、入浴時間は10分まで
熱すぎるお湯や長時間の入浴は、体に負担をかけます。
ステップ⑤ 家族でチェックリストを共有しよう
ご自身が感じる“寒さ”を、離れて暮らす家族にも伝えておくことが大切です。
「寒い家=健康リスク」がまだ広く認知されていない今、
ちょっとした情報共有が命を守るきっかけになります。
中長期で考えたい、3つの住宅改善ステップ
根本的な解決には、やはり住宅の「断熱・気密性能」を見直す必要があります。
以下の3つは、特に効果が高く、シニア世代の暮らしに直結する改善策です。
① 窓の断熱性能を高める
窓は住宅の中で最も熱の出入りが多い場所。
内窓(二重窓)の設置や、断熱性の高い樹脂サッシへの交換は、
比較的コストを抑えて実施でき、体感効果も大きいです。
② ユニットバスへのリフォーム
断熱浴槽、浴室暖房乾燥機付きの最新ユニットバスにすることで、
浴室内の温度が一定に保たれ、ヒートショックのリスクを大幅に削減できます。
③ 高断熱・高気密住宅への建て替え
これからの“終のすみか”を考えるなら、住宅そのものを見直すのも一つの選択肢。
50代からの『終の棲家』完全ガイド
断熱等級6相当(UA値0.46以下)の住宅なら、
リビング・廊下・脱衣所の温度差がほとんどなく、
24時間365日快適な暮らしを実現できます。
補助金も活用できる!住宅省エネ2025年キャンペーン
少しハードルが高いと思われがちな住宅改善ですが、
今は国の補助制度が非常に充実しています。
- 先進的窓リノベ2025事業(環境省):最大200万円
- 子育てグリーン住宅支援事業(国土交通省)省エネリフォーム:最大60万円
- 子育てグリーン住宅支援事業(国土交通省)新築GX志向型:最大160万円
制度は年度ごとに内容が更新されるため、
地元の工務店やリフォーム会社に相談すると最新情報が得られます。
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まずは一歩、踏み出してみてください。