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建て替えのベストタイミングは50代〜60代?70歳を過ぎると難しい理由と判断基準

2025.08.22
建て替え

「家が古くなってきたけれど、まだ住めるし…」「年齢的に建て替えるのは大変かも」──そう感じている方は少なくありません。特にシニア世代に入ると、建て替えを先送りしているうちに、体力・資金面・家族の状況など、住まいの選択に大きな影響を及ぼす要素が増えてきます。

一般的に「70歳を過ぎてからの建て替え」はハードルが高いと言われています。その理由は、単に年齢だけではなく、体力・住宅ローン・暮らし方など、複数の課題が同時に関わってくるからです。

本記事では、建て替えを検討すべきタイミングや判断基準、リフォームとの違い、費用シミュレーション、そして実際に建て替えを経験したご夫婦の体験談 を交えながら、後悔しないためのポイントを徹底解説します。

 

 

建て替えを考えるべき「きっかけ」とは

 

建て替えは「そろそろかな?」と思ってから動くと遅い場合があります。では、どのような状況が建て替えのサインなのでしょうか?

“終の棲家”としての建て替え判断基準とは

 

家の老朽化(築30年以上・耐震基準未満の住宅)

 

1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅は、大地震の際に倒壊リスクが高いと言われています。築30年、40年と経つと、柱・梁・基礎の劣化だけでなく、配管や断熱材も性能が低下している可能性が高く、安全性や快適性に大きな影響が出てきます

 

寒さ・暑さによる健康リスク

 

冬に寒い家は、シニア世代にとって ヒートショック(急激な温度変化による心臓や血管への負担) の危険が高まります。夏の猛暑でも断熱性能が低い家では熱中症リスクが高まります。健康リスクを感じ始めたら、建て替えを検討するタイミングです。

 

生活動線の不便さ

 

階段の上り下りが負担、トイレや浴室が遠い、段差でつまずく──こうした「ちょっとした不便」が、将来大きな事故や介護負担につながります。生活動線に不便を感じることは、建て替えを考える重要なサインです。

 

70歳を過ぎると建て替えが難しくなる理由

 

では、なぜ70歳を超えると建て替えが難しいといわれるのでしょうか。主な理由は次の3つです。

 

体力・気力の負担

 

建て替えは数カ月から1年以上かかる大きなプロジェクトです。打ち合わせ、仮住まいへの引っ越し、荷物整理など、想像以上にエネルギーを使います。70歳を過ぎると「やりたい気持ちはあるけれど、体力的に厳しい」と感じる方が増えます。

 

住宅ローン審査のハードル

 

金融機関では、高齢になるほど住宅ローンの審査が厳しくなります。多くの銀行では完済年齢を80歳前後に設定しているため、70歳でローンを組む場合、返済期間が10年程度に限られ、毎月の返済額が高額になるリスクがあります。資金面からも「遅すぎない判断」が重要です。

 

施工中の暮らしへの影響

 

建て替え中は仮住まいでの生活が必要になります。数カ月単位での引っ越しや生活の変化に対応するのは、高齢になってからでは大きなストレスになります。

 

建て替えとリフォーム、どう判断する?

 

「建て替えか、リフォームか?」は多くの方が悩むポイントです。判断の基準を整理してみましょう。

 

フルリフォームで対応できるケース

 

  • 間取りを大きく変えなくても暮らせる

  • 基礎や柱など主要構造が健全である

  • 水回りや断熱性能の部分改善で十分対応できる

 

建て替えでしか解決できないケース

 

  • 耐震性が著しく不足している

 国土交通省「耐震基準」

  • 基礎や構造材の劣化が深刻

  • 大幅な間取り変更が必要

 

「住まいの健康診断」で現状を数値化

 

リフォームか建て替えかを迷ったら、まずは「住宅診断」を受けるのがおすすめです。断熱性能、耐震性、劣化状況を数値化することで、感覚ではなくデータに基づいて判断できます。

リフォームか建て替えか?後悔しない判断基準

 

体験談:65歳で建て替えを決断したご夫婦のケース

 

和歌山市にお住まいのAさんご夫婦(65歳・63歳)は、築45年の木造住宅に住んでいました。冬になると室内の温度差が大きく、ご主人がヒートショックで倒れかけたことをきっかけに、建て替えを決断。

当初は「70歳を超えてからでもいいのでは?」と考えていましたが、住宅ローンや体力面を考え、退職前に動くことを選びました。結果的に、平屋に建て替えたことで階段の負担がなくなり、光熱費も月1万円以上削減

「もっと早く決断すれば良かった」と話されています。

 

建て替えにかかる費用シミュレーション

 

建て替えは高額な投資です。目安となる費用を整理してみましょう

項目 費用の目安
解体費用 100〜200万円
本体工事費 1,500〜2,500万円(平屋20坪〜30坪の場合)
仮住まい・引っ越し費用 50〜100万円
諸費用(登記・税金・手数料など) 100〜200万円
合計 1,800〜3,000万円程度

※地域や仕様によって変動しますが、老後の生活設計を考える上で、金額感を把握しておくことが大切です。

和歌山で平屋を建てるならいくら?価格相場・費用の内訳・補助金活用まで徹底解説!

 

建て替えのベストタイミングは「50代〜60代」

 

では、建て替えに最も適した時期はいつでしょうか。多くの専門家が口をそろえて推奨するのは「50代〜60代」。その理由は、単なる年齢だけではなく、ライフスタイル・資金計画・将来の暮らし の3つの観点から見ても、この時期が最も合理的だからです。

 

ライフスタイルの変化に合わせやすい

 

50代に差しかかる頃には、多くの家庭で子どもが独立し、夫婦ふたりの暮らしが中心になります。これまで必要だった部屋数や大きな間取りが不要となり、「本当に必要な広さ」 を考えるきっかけが訪れます。

さらに、今のうちにバリアフリー化や1階完結型の間取りに変えておけば、将来の介護や加齢に伴う身体の変化にもスムーズに対応できます。つまり、この時期の建て替えは、老後を安心して迎えるための準備期間 として非常に価値があるのです。

50代からの『終の棲家』完全ガイド

 

住宅ローンをまだ組める

 

建て替えにはまとまった資金が必要です。50代〜60代前半なら、まだ金融機関の住宅ローン審査をクリアしやすく、返済計画も無理のない範囲で立てやすい時期です。

70歳を超えるとローン完済年齢の制限から返済期間が短くなり、毎月の返済額が高額化するケースもあります。それに比べて50代〜60代前半であれば、退職金や貯蓄とローンを組み合わせて柔軟な資金計画を立てられる のが大きな利点です。

住宅金融支援機構「住宅ローン」

 

リタイア前に計画するメリット

 

現役時代は収入が安定しており、資金調達がしやすいのも大きな強みです。退職後に大規模な建て替えを検討すると、年金収入だけで計画を進めることになり、精神的にも大きな負担になります。

その点、50代〜60代の現役世代で建て替えを済ませておけば、リタイア後は「住宅に関する大きな心配事がなくなる」ため、生活の安心感が格段に高まります。老後の医療費や介護費に備える余裕も生まれ、暮らし全体の安定につながります。

 

まとめ──後悔しない建て替えの第一歩

 

建て替えは、人生の大きな決断です。

  • 築年数、健康リスク、生活動線の不便さは大きなサイン

  • 70歳を過ぎると体力・資金面でのハードルが高まる

  • 建て替えのベストタイミングは「50代〜60代」

  • 判断に迷ったら「住まいの健康診断」で現状を数値化すること

まずは小さな一歩として、住まいの現状を把握することから始めましょう。それが「後悔しない建て替え」への第一歩です。

 

 

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