和歌山で、ふたりの時間を包む平屋を─建築家が語る『余白のある暮らし』の設計思想
目次
平屋を小さくする、もうひとつの豊かさ
長年、住宅を設計してきて感じるのは、“平屋を小さくする”という決断こそ、もっとも勇気があり、もっとも美しい選択だということです。
家を建て替える時、多くの方が「子どもたちが帰省した時のために」「収納を増やしたい」とおっしゃいます。
けれど夫婦二人になった今、本当に必要なのは「広さ」ではなく「心の余白」かもしれません。
和歌山の穏やかな光と風に包まれて、
“ふたりの時間を大切に過ごすための家”を考える。
その答えのひとつが、15坪前後のコンパクトな平屋です。
和歌山でシニア世代が叶える、平屋での健康で安心な“これからの暮らし”
住まいを「コンパクトにする」

「空間を減らすのではなく、意味を深める。
家を小さくすることに不安を感じる方は多いでしょう。
しかし実際には、空間を削るのではなく、暮らしの密度を高める行為です。
15坪の家でも、LDK・寝室・水まわり・収納をきちんと設け、
さらに“夫婦のためのスペース”──書斎や趣味室、縁側のベンチなど──をデザインすることが可能です。
狭いのではなく、使わない空間を持たない暮らし。
それが、歳を重ねた夫婦にとっての理想です。
広すぎない“手の届く終の棲家”へ 小さくても快適なコンパクト平屋設計の秘訣
空間の「密度」と「抜け」を両立させる
設計では、ただ小さくするだけでは窮屈になります。
私が大切にしているのは、光・風・視線の“抜け”を意識した構成です。
たとえば和歌山では、南面からの陽射しが心地よく入るため、
リビングの天井を少し高くして吹き抜けを設ける。
視線の抜ける方向に窓を配置すれば、
15坪の家が不思議と広く感じられます。
「小さくても、広がりを感じる」──それが本当の設計力なのです。
和歌山の光と風を「設計素材」にする

気候に寄り添うデザイン
私はいつも、和歌山という土地と“対話”しながら設計を始めます。
紀伊山地からの風、有田川のほとりに漂う朝もや、紀の川平野をやさしく包む朝の霞。
こうした気候のリズムを理解することが、
本当に快適な平屋をつくる第一歩です。
深い軒を出して夏の日差しを防ぎ、
冬は低い太陽を取り込む──そんな設計の工夫で、
エアコンに頼らずとも一年中快適に過ごせます。
平屋は自然を取り込む設計
平屋は自然との距離が近い建築です。
だからこそ、自然を“眺める”だけでなく“取り込む”設計が求められます。
私はよく、庭に面した窓を大きく開き、
そこに座れるベンチを設けます。
風が抜け、木漏れ日が差し込むその場所は、
季節ごとに変わる光の表情を楽しむための“特等席”になります。
和歌山の自然は穏やかで、人にやさしい。
だからこそ、外を閉じるのではなく、共に暮らす家が似合うのです。
和歌山の高温多湿&台風に強い平屋のつくり方──通風・断熱・防災を徹底解説
夫婦二人の「距離感」をデザインする

見える距離と聞こえる距離
夫婦二人での暮らしには、絶妙な“間”が必要です。
私はその距離を、「見える距離」「聞こえる距離」で設計します。
キッチンでお茶を淹れる音が届き、
リビングの灯りが視界の端に入る──。
そんな距離感が、安心と独立を両立させます。
この「ゆるやかなつながり」こそが、
夫婦二人の暮らしにおける最大の快適性です。
シニア世代の為の声を掛け合う設計
たとえば、寝室とLDKの間に“中庭”を挟む。
ふたりが別々の時間を過ごしながらも、
風や光がその間を行き来することで、
まるで会話のように空気がつながる。
物理的な距離が心の距離を決めるわけではありません。
設計の力で、関係性をやわらかく支えることができるのです。
「2階に上がらなくなった日」──夫婦ふたり、平屋で始める第2の暮らし
「機能」よりも「情緒」を優先する家づくり

情緒をデザインするということ
性能や効率はもちろん大切です。
しかし、シニア夫婦がこれからの人生を過ごす家では、
「情緒の豊かさ」こそが暮らしの質を決めると私は考えています。
朝の光が床に描く模様、
雨音が軒先を伝う音、
夕暮れの風が障子をやさしく揺らす──。
それらはどれも、数字では測れない価値です。
和歌山の穏やかな気候が、この“情緒の設計”を後押ししてくれます。
断熱性能の高さよりも、心が落ち着く室温と空気感。
それが本当の快適さなのです。
15坪の平屋が教えてくれる「足るを知る」美学

小さな家は「意識の届く家」
家が小さくなると、
モノの量も、生活のリズムも、自然と整います。
“使う・使わない”を丁寧に選ぶことで、
自分たちの価値観が見えてくる。
15坪の家には、家事動線も短く、
視線がすべてに届く安心感があります。
それは、「すべてを把握できる」ことの心地よさ。
余白の中にある誇り
何かを手放すたびに、
残ったものがより愛おしくなる。
家具ひとつ、照明ひとつにも理由があり、
そこに“自分たちの選択”が映し出される。
この「足るを知る暮らし」こそが、
和歌山で夫婦二人が生きるための静かな誇りになるのです。
家を建てることは、人生を整えること

私は、家づくりを“人生の編集”だと思っています。
長い年月をかけて積み重ねてきたものを見直し、
これからの生き方を、空間という形で表現する。
平屋はその編集に最もふさわしい器です。
上下の動きがなく、
目線が常に水平であることで、
生活のテンポが穏やかになり、心の動きも静かになる。
和歌山の青空の下で、
朝の光で目を覚まし、
庭でコーヒーを飲みながら話をする。
そんな日々の中にこそ、人生の美しさは宿ります。
人生100年時代、シニアライフを安心して楽しむための住まい選び
結び──「家を小さく、心を豊かに」
和歌山という土地は、
家を飾るより、暮らしを深める場所です。
15坪の平屋は、
豪華さよりも誠実さ、
便利さよりも穏やかさを大切にする家。
夫婦二人が静かに笑い合い、
季節と共に暮らすための“器”として、
この小さな家がそっと寄り添います。
これからの人生にふさわしい住まいとは、
「広さ」ではなく「余白」のある家。
それが、専門家として私が和歌山で提案したい平屋のかたちです。
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人生100年時代。
大切なのは、「これからをどう暮らすか」
和歌山で快適・安心に暮らすための第一歩に、ぜひご活用ください。