今の家を売ったらいくら残る? 売却価格から諸費用・住宅ローンを引いた手取り額の考え方
「今の家は、1,500万円くらいで売れると言われました。では、その1,500万円を平屋の予算に入れてよいのでしょうか」
50代・60代から住み替えを考える方にとって、ここはとても大切なところです。不動産会社の査定額が分かっても、仲介手数料や登記、住宅ローンの返済、場合によっては測量や片づけ、税金もあります。最後に手元へ残る金額が見えないままでは、土地や平屋の予算も決められません。
この記事では、家の売却価格から何を引けばよいのか、和歌山ではどんな条件で売却価格や費用が変わりやすいのかを、具体例を使ってやさしく整理します。税金や登記、融資はご家庭ごとに条件が異なるため、最後に専門家へ確認する範囲もまとめます。
目次
家を売った後の手取り額は、この式で考えます
売却手取り額の基本式
実際の売却価格 − 住宅ローン残高 − 売却諸費用 − 譲渡所得にかかる税金 = 手元に残る金額
ここで大切なのは、出発点を「査定額」ではなく「実際に売れた価格」にすることです。査定額は、売却できそうな価格の目安であり、その金額で売れることを約束するものではありません。売り出してから価格を見直すこともあります。
まだ売却前に計画を立てる場合は、査定額を一つだけ使わず、「希望に近い価格」「現実的に見込む価格」「早めに売る場合の安全側の価格」の3つで手取り額を計算すると、老後資金を取り崩すリスクを減らせます。
「できる・難しい・個別確認が必要」の判断条件
| 判断 | 主な条件 | 次にすること |
|---|---|---|
| できる可能性が高い | 売却価格がローン残高と諸費用を十分に上回る | 残る金額を老後資金と新居資金に分ける |
| 慎重に考えたい | 査定額とローン残高が近く、値下げ余地が少ない | 安全側の売却価格で再計算する |
| そのままでは難しい | 売却価格よりローン残高と費用の合計が多い | 不足分の自己資金と金融機関の承諾を確認する |
| 個別確認が必要 | 相続、共有名義、未登記、境界不明、譲渡益が出る | 司法書士、土地家屋調査士、税理士等へ確認する |
売却価格から引く主な費用
売却にかかる費用は、どの家も同じではありません。まずは次の項目に、自宅の場合はいくらかかりそうかを書き込んでみましょう。
| 費用 | 目安・考え方 | 確認先 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 400万円超は上限の速算式が「(売却価格×3%+6万円)+消費税」。2,000万円なら72万6,000円(税込)。 | 不動産会社 |
| 低廉な空き家等の特例 | 売却価格800万円以下は、合意により仲介手数料が上限33万円(税込)となる場合がある。 | 不動産会社 |
| 売買契約書の印紙税 | 軽減期間中、500万円超1,000万円以下は5,000円、1,000万円超5,000万円以下は1万円。 | 不動産会社・税務署 |
| 抵当権抹消 | 登録免許税は不動産1個につき1,000円。司法書士へ依頼する場合は報酬が別に必要。 | 司法書士・法務局 |
| ローン完済手数料 | 一括返済や書類発行の手数料は、金融機関と契約内容によって異なる。 | 金融機関 |
| 測量・境界確認 | 境界標がない場合や、面積・越境を確認する場合などに必要。土地の条件によって大きく変わる。 | 土地家屋調査士 |
| 片づけ・解体・補修 | 残置物撤去、建物解体、契約条件に応じた補修など。必ず発生するわけではない。 | 不動産会社・各専門業者 |
| 譲渡所得の税金 | 売却価格ではなく、取得費や譲渡費用、特別控除を踏まえた譲渡所得に対して計算。 | 税務署・税理士 |
※仲介手数料は法令上の上限であり、実際の金額は媒介契約で確認します。低廉な空家等の特例は、2024年7月1日以降、価格800万円以下の宅地建物が対象です。印紙税の軽減措置は2027年3月31日までに作成される一定の契約書が対象です。制度は変更されることがあるため、契約時点で再確認してください。

計算例1|2,000万円で売れ、住宅ローンが600万円残っている場合
次は、売却価格2,000万円、住宅ローン残高600万円の例です。税金は、マイホームの3,000万円特別控除の要件を満たし、課税されないものと仮定します。測量などの費用は仮の金額です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売却価格 | 20,000,000円 |
| 仲介手数料(上限の例) | −726,000円 |
| 印紙税 | −10,000円 |
| 抵当権抹消・ローン関係費用(仮) | −50,000円 |
| 測量・片づけ等(仮) | −300,000円 |
| 住宅ローン残高 | −6,000,000円 |
| 譲渡所得税(特例適用を仮定) | 0円 |
| 手取り額の目安 | 12,914,000円 |
この例では、2,000万円で売れても、平屋や土地に使える出発点は約1,298万円です。さらに、この全額を新居へ使うのではなく、引っ越し、仮住まい、生活予備費、医療や介護、車の買い替えなどに残す分を先に決めます。
計算例2|ローンがなくても、売却価格がそのまま残るわけではありません
1,000万円で売れ、住宅ローンが残っていない家でも、仲介手数料39万6,000円、印紙税5,000円、登記や片づけなどを仮に48万円とすると、手取りは約911万9,000円です。長く住んだ家ではローンがなくても、境界確認、残置物撤去、相続登記や未登記部分の整理が必要になることがあります。
特に800万円以下の売買では、低廉な空家等の仲介手数料特例により、通常の計算式より仲介手数料が高くなる場合があります。和歌山の郊外や築年数の古い家では、媒介契約を結ぶ前に金額と内訳を確認しておきましょう。
計算例3|売却価格よりローンと費用の方が多い場合
例:1,500万円で売却、ローン残高1,600万円、売却費用80万円
1,500万円 − 1,600万円 − 80万円 = 180万円の不足です。不足分を自己資金で用意できるか、金融機関が抵当権抹消に応じる条件は何かを、売買契約の前に確認する必要があります。
住宅ローンが残る家は、原則として売却代金などで完済し、抵当権を抹消して買主へ引き渡します。「売れたら何とかなる」と考えず、残高証明や返済予定表を取り寄せ、売却価格が下がった場合まで計算しておくことが大切です。
税金は「売却価格」ではなく「利益」にかかります
家を2,000万円で売ったから、2,000万円に税金がかかるわけではありません。土地・建物の譲渡所得は、売却代金から取得費と譲渡費用を引き、利用できる特別控除を差し引いて計算します。建物の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を引くため、購入時の金額をそのまま使うものではありません。
取得時の契約書や領収書が見つからない場合などは、売却価格の5%を概算取得費とすることがあります。すると計算上の利益が大きくなることもあるため、購入時や増改築時の資料は早めに探しておきましょう。相続で取得した家は、原則として以前の所有者の取得時期や取得費を引き継ぐため、資料の確認が特に大切です。
自宅として使っていたマイホームは、一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。ただし、自動で適用されるわけではなく、必要書類をそろえて確定申告が必要です。また、新居の住宅ローン控除などと、売却年・入居年によって併用できない場合があります。
専門家へ確認する範囲
税金と特例は税務署または税理士、住宅ローンと抵当権抹消の条件は金融機関、名義や登記は司法書士、境界や未登記部分は土地家屋調査士へ確認します。住宅会社や不動産会社だけの説明で税額を決めないことが大切です。
和歌山では、同じ築年数でも売却価格が変わります

和歌山県の2025年地価調査では、県全体の住宅地平均は下落が続く一方、和歌山市の住宅地は上昇しました。県内を一つの相場で見るのではなく、市町村、さらに同じ市内でも駅、買い物、病院、学校、道路、浸水や津波、高台などの条件で需要が変わります。
50代・60代の住み替えでは、今の家を「築年数が古いから価値はない」と決めつけないことも大切です。建物を使いたい買主がいる場合もあれば、土地として評価され、解体費を見込んだ価格になる場合もあります。次のような条件を一緒に確認します。
- 前面道路の種類と幅、接道、車の出入りや駐車台数
- 敷地の形、高低差、擁壁、境界標、越境の有無
- 浸水・津波・土砂災害の想定、過去の被害や修繕履歴
- 駅、バス、病院、買い物への距離と、将来も暮らしやすい利便性
- 雨漏り、シロアリ、耐震性、断熱性、水まわり、増改築の記録
- 下水道・浄化槽、給排水、未登記の増築、相続や共有名義の整理
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、実際の取引価格、地価公示・地価調査、防災情報、都市計画、周辺施設などを確認できます。ただし、面積や築年数が似ていても条件は同じではありません。公的データと複数の査定根拠を合わせて見ましょう。
査定は一つの金額ではなく、3つの金額で受け取る
不動産会社へ査定を依頼するときは、「いくらですか」だけで終わらせず、次の3つを聞いてください。高い査定額だけを住み替え予算に入れると、売却が長引いたときに新居の計画が苦しくなります。
- 売り出し価格:まず市場へ出す価格
- 成約見込み価格:一定期間で実際に売れると考える価格
- 安全側の価格:早めの売却や値下げも想定した資金計画用の価格
それぞれについて、近隣の成約事例、土地と建物の評価、想定する販売期間、価格を見直す時期を聞きます。複数社の査定額が違うときは、金額の高さではなく根拠を比べることが大切です。
手取り額が分かったら、平屋に使える金額を決めます

売却後に約1,300万円残ると分かっても、その全額を土地や建物に使うとは限りません。まず、生活予備費、医療や介護、車の買い替え、趣味や旅行、将来の設備交換など、この先の暮らしに残すお金を分けます。
住まいにいくらまで使ってよいかは、「50代・60代の平屋予算はいくらまで?老後資金を残す無理のない総予算の決め方」でも詳しく整理しています。
百家の15.78坪の平屋は、本体価格1,850万円、標準的な付帯工事を含む目安が2,030万円です。土地、外構、登記、融資、引っ越し、地盤改良の有無などは条件により変わります。売却手取り約1,300万円を使う場合でも、不足分をいくら借りるのか、老後資金をいくら残すのかを先に確認します。
百家は、UA値0.46を目標とする断熱等級6、C値0.7以下を全棟気密測定で確認する考え方です。予算が合わないときは、将来の寒さや光熱費に関わる性能を先に削るのではなく、使わない部屋や広さ、設備、土地条件の優先順位から見直します。
住み替えの順番も、手取り額で変わります
今の家の売却代金が土地購入や着工金に必要なら、売却を先に進めるのが基本です。一方、自己資金や融資で新居を先行できる場合でも、売却が遅れたときの二重負担を確認します。詳しくは、「住み替えは今の家を先に売る?平屋を先に建てる?」をご覧ください。
順番を決める前に、「売却が予定より3か月遅れたら」「300万円安くなったら」「仮住まいが必要になったら」という予備の計算もしておくと、急いで決める場面が少なくなります。
自宅で、売却手取りと平屋予算をゆっくり整理したい方へ
百家では、今の家を直す・建て替える・住み替える・土地から平屋を建てる場合を比べる資料、12坪・15坪・20坪・25坪の平屋価格、30年の住居費書き込みシートを無料で郵送しています。
売却手取り額を出す5つの手順
手順1|住宅ローン残高を確認する
返済予定表の数字だけでなく、売却予定時点の一括返済額、手数料、抵当権抹消に必要な書類と日数を金融機関へ確認します。夫婦で別々に借りている場合や担保が複数ある場合は、まとめて確認します。
手順2|査定額と根拠を複数の見方で確認する
近隣の成約事例、土地と建物の評価、販売期間、価格見直しの条件を聞きます。高い査定額を選ぶのではなく、なぜその価格になるのかを確認します。
手順3|自宅に必要な売却費用を一覧にする
仲介手数料、印紙税、登記、ローン、測量、片づけ、解体や補修の要否を整理します。「まだ分からない費用」は0円にせず、確認中として予備費を置きます。
手順4|税金の特例と申告を確認する
購入時や増改築時の契約書、領収書、登記事項証明書、売却費用の資料をそろえます。3,000万円特別控除や住宅ローン控除との関係は、売却・入居の時期を決める前に確認します。
手順5|老後資金を残し、新居の総予算へつなげる
安全側の売却手取り額に、住まいへ回す自己資金と無理なく返せる借入額を加えます。そこから土地、建物、付帯工事、外構、登記、引っ越し、仮住まいまで含む住み替え総額を考えます。
よくある質問
Q1|査定額は、そのまま売却価格になりますか?
なりません。査定額は成約を保証する金額ではありません。売り出し後の反響、建物状態、買主の希望、引き渡し条件などで変わります。資金計画には安全側の価格も入れましょう。
Q2|売却価格から何%引けば、手取りの目安になりますか?
一律に何%とは決められません。住宅ローン残高が大きい方、境界確認や片づけが必要な方、税金がかかる方では大きく違います。項目ごとに金額を入れる方が安全です。
Q3|住宅ローンが残っていても売れますか?
売却代金などで完済し、抵当権を抹消できれば売却できます。売却価格だけでは足りない場合は、不足分の自己資金と金融機関の承諾を契約前に確認します。
Q4|自宅を売れば、3,000万円までは必ず税金がかかりませんか?
必ずではありません。3,000万円特別控除には対象となる家や売却先、利用時期などの要件があり、確定申告も必要です。税務署や税理士へ個別に確認してください。
Q5|相続した家の手取り計算も同じですか?
基本式は同じですが、名義、取得時期、取得費、相続登記、空き家の特例などの確認が必要です。以前の所有者の購入資料や相続関係書類を早めにそろえましょう。
Q6|高く売るために、先にリフォームした方がよいですか?
必ずしもそうではありません。かけた工事費がそのまま売却価格に上乗せされるとは限りません。現状のまま売る、必要な補修だけ行う、解体して土地で売る場合を比べます。
Q7|売却代金は、すべて新しい平屋に使ってもよいですか?
50代・60代ではおすすめしません。生活予備費、医療・介護、車、設備交換、趣味や家族の予定に残すお金を先に分け、残りを新居の予算にします。
まとめ|「いくらで売れるか」より「いくら残り、いくら使えるか」
住み替えの予算を考えるとき、査定額だけでは足りません。実際の売却価格から住宅ローン残高、仲介手数料、登記、測量や片づけ、必要な税金を引いて、手取り額を出します。そのうえで老後資金を先に残し、土地・平屋・諸費用を含む新居の総予算へつなげます。
今の家を売ると決めていなくても、手取り額を試算することはできます。数字が見えると、「住み替えられるか」だけでなく、「今の家を直す方がよいか」「建て替えと比べるべきか」も落ち着いて考えやすくなります。
今の家の売却後に使える住まい予算を、一緒に整理しませんか
百家の無料相談では、査定書や住宅ローン残高があれば、売却諸費用を含む手取りの考え方と、希望する平屋の総額を一枚に整理します。資料がそろっていない段階でも、何をどこへ確認すればよいかからご案内します。まだ売却も新築も決めていなくて大丈夫です。
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